- 不動産売買において税金面の心配がある
- 不動産売買で税制の仕組みを正しく理解したい
今回ご紹介するのは、不動産仲介業者の税制アドバイスが不十分であったため、思わぬ支出が発生した事例です。
不動産仲介業者の営業担当者はプロフェッショナルですので、日々さまざまな知識を身につけ研鑽しています。
しかし、不動産に関連する領域は広いものです。
関連領域にもプロフェッショナルが存在しており、営業担当者の知識やアドバイスに限界があることは言うまでもありません。
ぜひ事例をお読みいただき、不動産売買で失敗しない方法を身につけましょう。
不動産売買に至った経緯を教えてください。
もともと自宅マンションを所有していました。
ふとポストに投函されていたチラシを見たことが全ての始まりです。
自宅マンションが購入時の金額よりも高額で売れそうなことがわかったのです。
そんな話があるものかと最初は半信半疑でしたが、自分でも調べてみるとその通りの結果に。
不動産仲介業者へ相談してみると、なんと目論みどおりの回答をもらいました。
妻とも相談をして、この機会に自宅マンションを売却し、新しく自宅を購入することにしたのです。
買換えの手続きはどのように進めましたか?
まず購入したい不動産を見つけることから始めました。
希望に叶う不動産はすぐに見つかりましたので、買換えの資金計画シミュレーションを作成してもらうことに。
資金的には問題はありませんでした。
ただ、意外と諸経費がかかるんだな、と感じたことを覚えています。
シミュレーションによれば、売却益は全て諸経費でなくなってしまいました。
心配事は特にありませんでしたが、税金のことは少し気にかけていました。
不動産の売却で利益が出たのだから税金がかかるのではないか、と思ったのです。
念のため営業担当者に確認したところ、このような回答でした。
「売却で利益は出ますが、3,000万円の特別控除がありますのでカバーできます」
当時の私たちは、3,000万円の特別控除の意味などよくわかっていませんでした。
しかし、税金がかからない安心感があったのでしょう。
特に調べもしないまま、買換えの話を進めたのです。
居住していた不動産の売却益は、3,000万円まで課税されない制度のことです。
適用の条件は概ね以下の通りです。
- 自分が住んでいる家もしくは敷地を売却すること
- 以前住んでいたときは、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 自宅を解体して敷地を売却するときは、以下の要件を満たすこと
→解体から1年以内の売買契約、3年以内の決済引渡しをすること
→解体から売買契約まで、違う用途に土地を使っていないこと - 過去2年以内に3,000万円特別控除を利用していないこと
- 過去2年以内に自宅買換えや自宅交換の特例の適用を受けていないこと
- 売却する家や敷地が他の特例の適用を受けていないこと
- 罹災して住まなくなったときは、3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
- 親子や親戚など、特別な関係者に売るものではないこと
- 住宅ローン控除と3,000万円特別控除は併用できない
出典:国税庁 「No.3302 マイホームを売ったときの特例」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm
売却と購入は滞りなく進み、あとは確定申告を残すのみとなりました。
そこで思わぬ事実が発覚したのです。
確定申告で発覚した事実とはどのようなものですか?
住宅ローン控除と3,000万円の特別控除を同時に利用できないことが発覚したのです。
不慣れな私たちは税務署へ赴いて申告手続きを行いました。
もちろん、手には住宅ローン控除と3,000万円の特別控除の申請書類を持って。
税務署の職員と手続きを進めると、3,000万円の特別控除の話題になりました。
約100万円の納税が必要という説明でしたが、特別控除を手にする私たちに怖いものはありません。
特別控除を利用することを伝え手続きも終わろうかというタイミングで、信じられない言葉を耳にすることになります。
「特別控除を利用すると、住宅ローン控除は使えません。重ねて使うことはできませんので、どちらかを選んでください。」
安心しきっていた私たちは慌てましたが、為す術など持ち合わせていません。
その場で署員の方に相談し、どちらが得かを判断することにしました。
相談によれば住宅ローン控除を利用するほうが得することが判明したので、住宅ローン控除を選択。
3,000万円の特別控除はあきらめ、約100万円の納税をすることになったのです。
不動産仲介会社とのやりとりや後日談はどのようなものでしたか?
後日、不動産仲介会社に対してクレームを入れましたが、結論は何も変わりませんでした。
不十分な回答であったことは認めたものの、質問に対する回答という意味では問題はなかったという主張です。
不動産仲介会社との打合せ記録にも、私たちが納得していることが記されていました。
- 住むための不動産を購入するときは、住宅ローン控除制度を使うことができますか?
住宅ローン控除制度を使うことができます。
- 住んでいた不動産を売却した利益は、特別控除を使うことはできますか?
特別控除を使うことができます。
質問と回答はなんら間違っていません。
不動産仲介業者の言い分は納得せざるを得ないものでした。
質問が悪かったのか、自分の調査が不十分だったのか。
今も答えが出せずにいます。
不動産仲介会社の知識が全てではない
今回の事例は決して珍しいものではありません。
不動産売買仲介の現場ではよくあることです。
では、なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
答えは「営業担当者の知識も完全ではない」から起こるのです。
完全ではない質問に対して、不動産仲介会社は回答を濁すことがあります。
・かもしれません
・おそらく~だろう
・一度ご自身でもお調べになってください
不動産仲介会社が悪いわけではなく、わからないから答えられないのです。
そのため、営業担当者はお客様自身での調査をすすめることになります。
不動産仲介会社以外の調査という選択肢があります
弊所:Legal meがおススメするのは、不動産仲介会社以外に調査をお願いすることです。
なぜなら、不動産仲介会社の調査には限界があるからです。
不動産仲介会社にも顧問弁護士や顧問税理士はいることでしょう。
しかし、それは不動産仲介会社のために存在しているものであり、売主や買主のために存在しているものではありません。
相談するにも費用がかかりますし、確認程度の法律や税務の相談を積極的に受ける士業の方は少ないように思われます。
Legal meでは、今回ご紹介したようなことは起こりません。
それは以下の理由によるものです。
プロフェッショナルとの豊富なパートナーシップ
→弁護士や税理士はもちろんのこと、契約のプロフェッショナルとパートナーシップを結んでいます。
事後対応ではなく事前回避
→トラブルは対応するものではなく、事前に回避すべきものです。
スムーズな不動産取引を実現してきた豊富な経験と実績があります。
不動産取引でお悩みの方や不安を感じている方は、ぜひ弊所までご一報ください。
Legal meではこのような悩みをお持ちの方からのご相談をお待ちしております。
・不動産取引をスムーズに行いたい
・不動産売買で精度の高い調査をお願いしたい
・個人間売買、親族間売買を手伝ってほしい
弊所は不動産業者ではありませんので、仲介手数料は頂戴しておりません。
仲介手数料より安価な料金で、安心安全な不動産取引をお手伝いします。
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