不動産売買取引において、不動産会社の役割は非常に大きいものです。
不動産会社の役割として考えられるのは、このような役割です。
・売主と買主を検索して、マッチングさせる仲介業務
・契約手続きのサポート業務
・不動産物件の広告宣伝などのマーケティング業務
・不動産のプロとしての法的アドバイス
・不動産の調査業務 など
これらの役割の中でも、とくに重要なものは最後の「不動産の調査業務」といえます。
なぜなら、不動産の調査が不十分だと、売主や買主は大きな損害を被るからです。
今回は、不動産売買取引における物件調査について、ある事例をもとに解説いたします。
- 不動産取引後にトラブルに巻き込まれたくない
- 物件調査を適切に行ってほしい
- 安心安全で守られた不動産調査をしてくれる人に出会いたい
このような悩みをお持ちの方には役立つコラムになっています。
ぜひ最後までお読みください。
不動産の売却相談
話は約20年前にさかのぼります。
とある住居兼集合住宅に、ご高齢の女性がお一人でお住まいになられていました。
所有し居住する住居兼集合住宅を売却したいと、とある不動産会社を訪ねたところからお話は始まります。
不動産売却の理由
お話を伺ったところ、資産を売却する理由は以下の2点によるものでした。
1. 高齢であるため、もはや集合住宅の維持管理が困難になってきたから
2. 行く先を見据え、資産の整理を行っておきたい
ご高齢の方々にとって、相続問題を子々孫々に残すことは避けたい問題です。
そのため、生前に資産整理をしたいという方は少なくありません。
この女性も御多分に漏れず、そのお一人でした。
不動産の売却活動
売却不動産は東京近郊にあり、JR沿線徒歩6分という好立地だったことも奏功して、売却活動はスムーズに進みました。
査定ののち売却金額を決定し、情報を公開するとほどなくして買取業者から購入の希望が届くと、そこからはトントン拍子です。
特段の苦労もなく、あっという間に売却が完了しました。
その後、売却後の女性の住み替え先の手配なども無事終わり、売却活動は問題なく完了したかに思えた矢先のことです。
売却した不動産に心理的瑕疵が発覚
買主からの連絡に、不動産会社は驚かされることになりました。
なぜなら、買主から「購入した不動産で過去に室内で殺人事件があった」と聞かされたからです。
このような、過去に殺人事件があった事実のことを「心理的瑕疵」といいます。
心理的瑕疵とは…
心理的瑕疵とは、不動産を借りる人や購入する人にとって、心理的に「なんだか嫌だな」と思う事象のことを言います。
具体的には、以下のようなものが心理的瑕疵に該当するとされています。
・室内で殺人事件や自殺があった
・室内で孤独死があり、発見までにかなりの日数を要した
・対象不動産の近隣に嫌悪施設(墓地や悪臭のする工場など)があった
・対象不動産の近隣に暴力団事務所があった など
これらの事実は、不動産を借りる人や購入する人にとって、心理的な嫌悪感を引き起こす可能性が極めて高いことがうかがえます。
そのため、売主や貸主はもちろん、不動産会社は調査の結果を重要事項説明で明確に説明することが求められるのです。
買い戻しと損害賠償請求
買主の怒りは非常に大きなものであり、以下の2点を売主に要求しました。
1. 心理的瑕疵があると知っていたらそもそも購入していない、買い戻せ
2. 購入手続きにも時間と費用がかかっている、損害を賠償する
高額な収益用不動産の取引ということもあり、話はそう簡単にまとまりません。
結果、話し合いは決裂。
話し合いの場は法廷に持ち込まれました。
争点は「売主の売却理由の真意」
訴訟における争点は、「売主の売却理由の真意が何であったか」に絞られました。
そもそも売主の売却理由は「高齢による資産整理」でした。
しかし、本当の理由や狙いがあったのではないか、と疑いの目を向けられたのです。
そして迎えた判決の日。
売主の告知義務違反が認められる結果となりました。
売主の売却理由の真意について、判決ではこう述べられています。
・売主は、心理的瑕疵に該当する事実があった不動産は価格が下がることを知っていた
・売主は不動産会社や買主に対して心理的瑕疵に該当する事実を「あえて」伝えなかった
しかし、ふと疑問が残ります。
それは、不動産会社の対応や調査はどのようなものだったのか、です。
不動産会社の対応と調査の限界
不動産会社に対しては告知義務違反は言い渡されませんでした。
つまり、不動産会社はお咎めなし、ということです。
不動産会社は今回の調査にあたり、売主に対して3回のヒアリングを行っていたそうです。
初回の打合せ、契約前の打合せ、契約時と、きめ細やかな調査といえるでしょう。
その都度、売主からは「資産整理が売却の目的であること、および集合住宅で過去にトラブルはなかった」との説明がなされていたとのことです。
また、売主から賃借人への挨拶は決済引き渡し後にしてほしい、という要望があったことも裁判で明らかになりました。
この点からも、売主に帰責性があったと判断せざるを得ません。
買主を守る方法は調査の方法と調査する人にあり
この事例からわかることは以下の2点です。
・不動産会社の調査には限界があること
・一定の調査を果たしていれば、不動産会社に責任は問えないこと
今回のケースでは、不動産の調査に不十分な点があったことは否定できません。
表現を変えれば、「知ろうと思えば、知ることはできた」ということです。
不動産会社としての責任はないとしても、不十分な調査によって不動産の売買トラブルに巻き込まれては、買主はたまったものではありません。
弊所からのアンサーはただ一つ、調査の方法と人を変えることです。
それこそが、不動産トラブルから買主が守られる手段だと弊所は信じて疑いません。
弊所:Legal meは、各士業の専門家の方々をパートナーとして、問題の解決や事前回避を行い、契約のプロと言われる方々のアドバイスを元に個人間売買や親族間売買等のお手伝いを生業としています。
仲介ではありませんので仲介手数料は頂いておりません。
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こういった声にお応えしてまいります。
必ず、守られているなと感じていただけるはずです。
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