不動産売買仲介業で成果を出すために、媒介契約を獲得することは非常に重要です。
媒介契約を制する者は、不動産売買仲介業を制するといっても過言ではありません。
しかし、この媒介契約を本当に正しく理解できている人は少ないように感じられます。
そこで、今回は不動産売買仲介に欠かせない媒介契約について徹底解説いたします。
媒介契約の種類や中身の理解を深めると、営業活動にも役立つことが期待されます。
なぜなら、各媒介契約の中身を理解することで、効率的に営業することが可能だからです。
- 媒介契約について実は理解できていない
- 媒介契約の受託に課題を抱えている
- 一般媒介契約と専任媒介契約、どちらがお客様に合っているのかわからない
- 売却の見込みがない物件に、リソースを費やしたくない
今回は単なる解説記事に留まらず、お客様のご要望や状況によってどの媒介契約が適しているのか、営業活動にも役立てやすい内容に仕上がりました。
ぜひ参考にされてみてください。
なお、当所:Legal meでは、東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県など関東を中心に不動産業者の方々より多くの物件調査のご依頼を承っています。
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媒介契約ってなに?
媒介契約とは、不動産の売買や賃貸の契約をしたい人が、不動産業者に対して売買や賃貸の依頼をする契約のことをいいます。
実務では、売りたい人から「この物件を売ってください」と不動産業者に対して依頼をする契約のことを「媒介」と略して呼んでいることが多いのではないでしょうか。
※本記事における媒介は、売却の依頼という前提でお話を進めます。
不動産売買仲介業では、媒介契約はビジネスの成功のためには欠かせません。
一体、なぜ不動産業者は媒介契約を重要視する必要があるのか。
これより媒介契約の重要性と必要性について迫ります。
媒介契約の重要性
不動産売買仲介業では媒介契約を多く取得して、他社との差別化を図ることが重要です。
なぜなら、媒介契約を取得した売却物件は、自社のショーケースにだけその商品を設置することが可能だからです。
自社にしか商品がないという優位性は、営業成績に大きく影響します。
そのため、媒介契約を正しく理解して営業活動を行うことが求められるのです。
媒介契約の必要性
媒介契約が必要な理由は、宅建業法で定められている法的な手続きだからです。
宅建業法第34条の2によれば、以下のように定められています。
宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換の媒介の契約を締結したときは、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければならない。
宅地建物取引業法第34条の2
媒介契約が義務付けられている目的は、トラブルを防止することにあります。
不動産は高額の取引になるため、お客様が安心して取引できるようにすることが重要です。
そのため、不動産業者はお客様に対して必要な情報を記載した媒介契約書を交付するのです。
媒介契約の重要性と必要性が理解できたところで、これより媒介契約の種類について解説いたします。
媒介契約の種類
媒介契約には3つの種類が存在しています。
この3つの種類を正しく理解すると、媒介営業にも大きく役立ちます。
この3つの媒介契約の違いや特徴を表にまとめました。
媒介契約の種類 | 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 |
---|---|---|---|
複数社への依頼 | 複数の不動産会社へ依頼することが可能 | 1つの不動産会社にしか依頼できない | |
不動産流通機構への 登録義務 | 不動産会社に登録義務はないため、各社の判断に委ねられる | 不動産業者は契約締結後、7営業日以内に登録しなければならない | 不動産業者は契約締結後、5営業日以内に登録しなければならない |
処理状況の報告義務 | 不動産会社による処理状況の報告義務はない | 不動産会社は14日に1回以上は、処理状況を報告しなければならない | 不動産会社は7日に1回以上は、処理状況を報告しなければならない |
契約の有効期間 | なし ※ただし、一般的に3ヶ月を目安とすることが多い | あり 3ヶ月以内3ヶ月を超える契約は超える部分に対して無効 | |
自分で買いたい人を 見つけたら (自己発見取引) | 不動産業者を介さずに契約することができる | 契約可能不動産業者を介して契約しなければならない | 契約不可
以上をふまえ、媒介契約ごとの特徴をこれより解説いたします。
一般媒介契約
一般媒介契約とは、お客様が複数の不動産業者に対して媒介を依頼することができる契約のことをいいます。
不動産業者、お客様のどちらからみても義務や制限が少ない媒介契約です。
専任媒介契約
専任媒介契約とは、お客様が1社の不動産業者に対してのみ媒介を依頼する契約のことをいいます。
個人間や親族間売買に代表される、お客様が自分で買いたい人を見つけたときであっても、その不動産業者を介さずに売却することが可能です。
不動産業者からみても、自社のみを窓口として売却活動をすることができます。
そのため、売却活動においてはこの専任媒介契約を取得できるように営業することが重要です。
専属専任媒介契約
専属専任媒介契約とは、お客様の自己発見取引を禁止した専任媒介契約のことをいいます。
実務ではあまりお目にかかることはありませんが、お客様のニーズに応じてこの契約を採用することもあるでしょう。
媒介契約別|こんなお客様におススメしよう
3つの媒介契約からお客様に適した媒介契約をおススメすることが不動産業者には求められます。
そこで、媒介契約ごとにどのようなお客様におススメできるのかをこれから解説します。
お客様のニーズや状況を把握して、最適な媒介契約を紹介しましょう。
一般媒介契約がおススメのお客様
一般媒介契約をおススメしたいお客様は、このような特徴をお持ちの方々です。
- 不動産会社を一社に絞り込めていない
複数の不動産業者に依頼できますので、優良業者を見極めることができます。
- こっそり不動産を売却したい
情報の掲載義務がないため、こっそりと不動産を売却することができます。
専任媒介契約がおススメのお客様
専任媒介契約をおススメしたいお客様には、このような特徴があります。
- 積極的に売却活動をしてほしい
売却活動の報告義務があるため、積極的な売却活動が期待できます。
- 個人間や親族間売買の可能性がある
自分で買主を見つけたとき、仲介手数料無料で取引をすることができます。
専属専任媒介契約がおススメのお客様
専属専任媒介契約は、以下のようなお客様におススメしたいところです。
- 早く売却活動を開始して、早く売却したい
活動報告もこまめに行われるため、早期売却が期待できます。
媒介契約を正しく理解して、お客様に適した媒介契約を提案しよう
不動産売買仲介営業において、媒介契約の取得は成果に直結する生命線です。
媒介契約を得るためには、正しい査定や緻密な販売計画はもちろんのこと、お客様に適した媒介契約を提案することを忘れてはいけません。
なぜなら、お客様ごとに異なる事情や熱量を計らずして、媒介契約を取得することができないからです。
不動産売買仲介営業では、高額な査定を提示して媒介契約を取得する悪徳な営業はもはや通用しません。
そのため、お客様商売の原点に立ち返り、お客様に寄り添った販売活動が重要です。
媒介契約を正しく理解し、お客様のことを考えた媒介契約を提案しましょう。
なお、当所:Legal meでは、不動産業者の方々の営業精度を高めるためのサービスとして、物件調査の代行を行っております。
宅地建物取引士、行政書士資格保有者による精度の高い物件調査報告は、お客様の信頼を得ることが可能です。
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